2016年9月10日(土)8:30 〜 17:30

日本語教育国際研究大会 BALI ICJLE2016
(International Conference of Japanese Language Education)
an infinity of possibilities
『ビジネス日本語教師養成のためのカリキュラムの一例と考察』

  主催:インドネシア日本語教育学会
  共催:日本語教育グローバル・ネットワーク(GN)
  会場:バリヌサデュアインターナショナルコンベンションセンター

≪報告≫
 インドネシアのバリにあるインターナショナルコンベンションセンターには、各国から数百人の日本語教育関係者が集まりました。NPO法人日本語教育研究所では、近年特に力を入れているビジネス日本語教育並びに教師養成について、 当所が実践していることを紹介するという形でのポスター発表を行いました。
 近年、日本企業が外国人社員の採用を増やしていることから、ビジネス日本語研修の需要が急増、そのための教師養成は急務です。 しかし、ビジネス日本語は企業、職位などによって求められるものが多岐に渡ることから、教師養成においてもひとつの型を作ることが非常に難しいのが現状です。
そこで、当所では、様々なタイプの企業研修を担当してきた経験を生かし、ビジネス日本語を教える際の基礎となる考え方やスキルを学ぶ「ビジネス日本語教師養成講座」を実施しています。
 現在実施中の講座は、全3回という集中講座で、ガイダンス、教案検討会、外国人ビジネスパーソンを対象にした教壇実習という流れで進めています。ガイダンスでは、ビジネス日本語教育をとりまく社会情勢や、外国人学習者が目指す日本語レベルが様々であることなど、ビジネス日本語の多様性について理解を深め、その結果、提供する日本語レッスンが多岐に渡ること、教師にも「柔軟性」「臨機応変さ」が求められることに気付けるようにしています。さらに、現在出版されている様々なビジネス日本語の教科書分析を行い、どんな対象者に使えるものなのか、どんな対象者には使いにくいものなのかを考え、あるテキストを例に、新入社員研修で使うとすれば、テキストにどんな工夫をすればいいかを検討し、相手に合わせたカスタマイズの重要性を体験してもらっています。
 教壇実習を見ることで個々の教師の強みと弱みがよくわかり、結果として当研究所が受託する研修において、企業のニーズに合った人材を得ることができていると思われます。昨今の教師不足を補うためにもこうした講座を充実させていくことがその一助となるのではないかと考え、本発表では講座のカリキュラムを紹介するとともに、教壇実習を通して見えてきた指導のポイントを紹介しました。
 当ポスターを見に来てくださった方の中には、現在香港で日本語教育に携わっているという先生が大変興味を持って、当所の試みについて 耳を傾けてくださいました。また、日本国内で日本語教育に携わっている日本語教師の方々からも、様々なご質問をいただき説明をさせていただきました。
 普段お会いできないような方と出会うことのできる機会を持てるという意味でも、当所の存在と活動を知ってもらうという意味でも、国際大会に参加することは、有意義であったと思います。